ある日ある所に、実験好きな1人の学者がいました。

その学者は昼間は人々から慕われる昆虫学者として、夜は様々なものを昆虫に変える研究をするマッドサイエンティスト(鳳凰院凶真ではない)として2つの顔を持っていました。

しかし、初めは昆虫のよき理解者であった彼に近寄ってきていた虫達も、マッドサイエンティストとしての夜の実験は苦痛でしかなかったため、彼が昆虫採集に出かけると一目散に逃げるようになり、飼っていた虫達も、いつしか逃げ出したり、自ら命を絶っていったのでした。

あんなに大好きな虫達を人間にしてあげたい。蟷螂と話がしたい。あの優雅な蝶とデートがしたい。虫への想いのみで続けてきたつもりである研究は、その虫達に嫌われても、決して止めることなどできませんでした。

そしてとうとう研究に協力してくれる虫が一匹もいなくなってしまいました。あぁ、おれは虫達の事をこんなに想っているのに。なぜ!どうして逃げていってしまうんだ!!いつしか人々も彼を敬遠するようになり、学者は空のゲージに囲まれ、1人嘆き悲しむ日々を送っていました。

そうだ。おれが虫になればいい。ある日学者は気づきました。人とはここ1ヶ月会っていない、もはや人と交流する必要など無い。私が虫となり、大好きな虫達との生活を始めればいいのだ。どうしてこんなにも簡単な事にいままで気付かなかったのかと、早速研究を始めたのでした。

『残念ながら、私の実験動物はすべて死ぬか逃げるかしてしまった。ならば私が最後の実験台となろう。 恐れは無い。 重大な夜となるだろう。』これは、彼の母親が彼の遺品として受け取った研究記録の最後の書き込みです。ヒトとしての彼はもうこの世にいないのです。

今夜も彼の母親が眠りにつく頃、窓の外に羽虫が一匹。そのか弱い羽音になど気付くはずもなく、眠る母。その胸には唯一の遺品を抱き、目には涙を浮かべ、どんな夢を見ているのだろう。今日の物語はここまで。

コメント

べるつ@スタバ
2012年10月31日19:32

はいはい3/2飛行3/2飛行

G
G
2012年10月31日20:08

俺は人という存在を超越し3/2飛行へと昇華したのだフゥーハハハハハepk

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